ガラスペンにハマる

 ガラスペン作ってます。

 これは、昨日作っていたクラゲのペン軸と、シンプルなペン軸。

 それから、色のサンプルのために作ったリーフ型のペンダントトップ。

 全て、ガラスアルケミー(旧、ボロマックス)のアマゾンブロンズという色です。

 今まで、サタケでせっせと作っていた銅窯変の色が、アマゾンブロンズの赤い色。

 そこで、今まであんまり発色が上手く行ってなかったアマゾンブロンズの細かいパウダーを引っ張り出してきた。

 良いわ。

 サタケで四苦八苦して、発色させた成果が、思わぬところで役に立ちました。

 

 突然、ガラスペンにはまった理由は、簡単なこと。

 世間でブームだったから、普通に暮らしてたら、そういう情報にどこかで出会うことになったってことですね。

 そもそも、ステンドグラスを始めたあのときだって、回りでそういう環境ができてきていた時期だった。

 ステンドグラスをしながら、トンボ玉に転んだのも、ブームだったものに、色んな方向から情報に当たることになったから。

 

 今回は、何よりも、HASEガラス工房のインスタで、抽選販売が最高490倍ってのを見たときですね。

 長谷川くんのガラスペンを見ていて思ったことは。

 ガラスとしての魅力を確かに備えつつも、これは、文房具が欲しい人が欲するペンだということ。

 過剰な飾りを排しつつ、書き味としてのクオリティーを求めている人が欲するペンだ。

 どうも、キラキラした見た目だけの一過性のブームとは違うらしいって、始めて気づいた。

 

 そういえば、色華ガラスさんも、インスタライブでガラスペンやってた。

 個人的に、色華ガラスさんのあの吹きガラスがインスタで見られやしないかと、厚かましい思いで見に行ったんだけど、やってたのはグラスペンだった。

 で、家のwifi回線の奪い合いにすぐ負けて、フリーズしたので、インスタライブを見るのは終了してしまったんだけと。

 それを思い出していた。

 超うまい色華ガラスさんも、ガラスペンを作っている。

 ひとつ房の山田妙子さんまでもがガラスペンを作っていて、勝手に猫修行のリアル猫ちゃんが、ガラスペンの上にちょこんと座っているではないか!

 やっぱり、どうもブームは本物らしいって、やっとそこで気づいた。

 

 作り始めて、割りとすぐに思ったのは、ちゃんとしたペン先を追求しとかないといけないということ。

 ペン軸でアピールしてみたところで、道具ものは、しれっと、当たり前のように書き味が良くないと、絶対ダメだ。

 ペン軸を凝っても、書き味が悪かったら、存在意義そのものがなくなっちゃうんだ。

 ペン先は、なかなかに面白い。

 

 このペンは、2年ほど前に、教室の課題のデモで作ったペンなんですが。

 ペン先に、インクが乾いて残ってるのですが。

 良く見ると、8本の溝のうち、2本に長く細く上までインクが上がっています。

 これは、8本刻みを入れた内の2本が、鋭いV字谷として残ってしまっているので、そこだけ毛細管現象が強く起こってしまっているから。

 インスタに上げた、ボツにしたペン先も、理由は同じ。

 溝の調子にバラツキがあったから。

 ここのインクは、なかなか最後までは落ちてこないと思う。

 適当に刻んでたらアカンのやなあって思った。

 なだらかなU字谷で、溝がそれなりに深く、且つインクが落ちすぎないでくるむような形のペン先の断面が必要。

 が、山の部分が、薄目の羽根なら、インクが含まれる空間の体積は増えるものの、十分保持できないで、インクが垂れる。

 しかも、羽根の薄すぎる部分があることで、強度が落ちるし、先端を磨いた時に、どうしても羽根の根元等に、鋭角の角が残ってしまって、書いたときの引っ掛かりになる。

 溝がストレートの方が、重力がダイレクトにかかるので、インクの流れは良い反面、インクを落ちないように保持する力は弱い。

 面白い!

 何か、ガラスペン沼というよりも、ペン先沼に落ちそうになって、やめた。

 基本のペン先で、必要十分でありつつ、自分の好みの範囲のものに留めて、完成品を作ろう。

 いっつも、要素でも追求しすぎるオタク気質が、私の経済状態をいつも逼迫させるんだもん。

 もっとも、今回の、アマゾンブロンズの発色何かには、生かせたわけですけど。

 

 やっと、やっと、やる気になりました。

 多分、無理矢理トンボ玉をアクセサリーにしたものとか、自分でも欲しくなかったというか、アクセサリーなら、もっと他に欲しいものがあるのに、何でそこでなくて、そこそこの満足度のトンボ玉なんだろうって、自分で煮えきらなかった。

 紐を工夫してみても、チェーンを探してみてもダメだった。

 宇宙ガラスのブームにも、乗れなかった。

 あれは、私がときめく宇宙じゃないもの。

 人工オパールも好きだったけど、それが宇宙のデザインでなくてもよかったもの。

 技巧を凝らして、今までに見たことのないガラス作品を目指しても、マニア過ぎて自己満足に終わってた。

 

 ガラスペンで、ようやくやる気になった。

 用途のあるお道具で、ペン先を作る試行錯誤も面白いし、インクの出やペン先の滑りに反映する感じが楽しい。

 クラゲも入れられる。

 しかも今回のクラゲは、今までのクラゲとは違って、「口腕」という真ん中の四本の脚のヒダヒダが、内向きです。

 リアルなクラゲは、内向きだったんです。

 クラゲを作る色も、ソフトガラスで使ってた、白等は、代替えの色がなくて、銀発色のシルバーストライク等に変更しています。その事で、クラゲの質感が再現しやすくなった気がする。

 銀発色もまた、モレッティやサタケガラスやキナリガラス等のソフトガラスで作っていた、銀窯変の知識が役立っていて。

 その前までは、ボロの銀や銅のストライクカラーを何となく使ってただけだったんだけど。

 しばらく、ソフトガラスで窯変にはまって現実逃避してたことが、役に立ったと思う。

 

 あれほど目的が見えなくて、介護とコロナ禍を言い訳に、仕事に身が入らずに、ずっと昔から自分はこんなに怠け者だったのかなって思うくらいダメになってた。

 この頃やる気になって。

 なんだ、できるんやんって、頑張ってた頃を思い出せた。

 楽しいです。

 ほんとに、楽しいです。

 ふふっ。

 

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