もう一度、検査を考えてみよう

 玉川さんから、全員検査を言い始めました。

 詳しく言うと、検査にはいろいろあります。

 有名なのは、PCR検査。

 最近言われている抗体検査。これは、IgMの方の精度が悪いとかで、IgGであれば、過去にかかったことが分かるという物。

 最近言われているのが、抗原検査です。

 抗体検査は、抗原に反応して抗体が作られるのに対し、抗原は病原体そのものなので、感染を確認できる。今のインフルエンザの検査がこの方法だそうです。

 

 抗原検査は、唾液を取って検査できるそうで、鼻や喉から撮るよりも、感染リスクが少ないんですって。

 それを、全員検査に使えないか案です。

 それによって、感染者を見つけ出す。できれば、1週間に1回全員検査をやれば、自粛を解いて経済を回せる。

 そう来たか!

 確かに、現実的にそれだけの数を確保できるかどうかという問題はあるけど、まあまあ安心した上で経済を回せる方法はこれか!

 一回の検査のための費用(保険適用ではなくて元々の価格)は分からないけれど、仮に1回分1万円だと仮定しても、1人10万円を給付する事を考えたら、決して非現実的な選択肢ではないと思う。

 

 日本では、検査を絞った方が感染が広がらないくらいの勢いで言う人がいる。

 もともとは、検査のキャパが限られているのであれば、感染が疑われる人を優先して使おうという話が元だったと思うんですが。

 それは正しいと思うけど。

 その説明をするのに、珍奇な論理を持ち出した人がいて、それによっておかしな話が流布することになった。

 その話をもうっ回見てみましょう。

 東京都民全員に、精度70%で、特異度99%のPCR検査をしたら、10万人が、罹ってもいないのに隔離されなくてはいけない、人権問題だ!と、罹れている文章です。

もしも東京都民1000万人に実施したら……

 検査の実用性を評価するには、真の感染者を正しく陽性と判定できる確率を示す「感度」と、非感染者を正しく陰性と判定できる確率を示す「特異度」を考慮しなくてはなりません。新型コロナウイルスのPCR検査の感度は高くて70%程度ではないかと言われています。つまり、30%以上の人は感染しているのに「陰性」と判定されてしまうのです。これを「偽陰性」と言います。

 一方、特異度については不明ですが、どんな検査でも100%はないと言われています。仮に特異度が極めて高く99%だったとしても、100に1人は感染していないのに「陽性」と判定されてしまうことになります。これを「偽陽性」と言います。

 さて、この感度70%、特異度99%を前提に、東京都民1000万人のうち1万人(つまり0.1%)が新型コロナウイルスに感染していると仮定して、都民全員にPCR検査を実施した場合を考えてみましょう。なお、検査対象が感染している(疾患を有している)確率を、「検査前確率(事前確率)」と言います。

 

 すると、上の(表1)の通り、正しく陽性と判定できる感染者が7000人(1万人×70%)、一方、間違って陽性と判定してしまう非感染者が、9万9900人(999万人×1%)となります。

陽性と判定されても、本当に感染している確率は6.5%

 陽性の検査結果が出た人たちのうち、実際に感染している人の割合を「陽性的中率」というのですが、それを計算すると7000人÷(7000人+9万9900人)×100なので、約6.5%となります。つまり、陽性と判定した人の中で本当に感染している人は、100人のうち6~7人しかいない計算となってしまうのです。

 それだけでなく、実際には感染していないのに、陽性とされてしまう「偽陽性」の人が10万人近くも出てしまうことになります。現在、新型コロナウイルスは指定感染症になっているので、たとえ軽症であったとしても、陽性の人は法律に基づき病院に隔離しなくてはいけません。

「軽症な人は病院ではなく家から出ないようにしてもらえばいい」という意見もありますが、1000万人にPCR検査をすると何の症状もなく元気なのに2週間も家に閉じこもらねばならない人が、10万人近くも出てきてしまうかもしれないのです。人権上、このようなことが果たして許されるでしょうか。

 

 中身です。

 本当の感染率0.1%とする。(実世界では、こんなこと、サンプリング調査しないと分かりませんし、しかも誤差含みでの数値しか分からないので、まあ、神様は知ってるねんっていう数値ですね)

 精度70%。本当は陽性の人が、陽性であると判定できずに漏れてしまう率、偽陰性が出る率が、30%ということになる。

 特異度99%。陰性であることが確定できる率。1%は、陰性であると証明できないことになる。

 では、計算を信じることとして。

 陽性の人、1万人。陽性と判定された人が、7000人、見落とされて陰性になった人が、3000人。

 陰性の人、999万人。陰性とお墨付き貰った人が、9890100人、陽性に間違えられた人、99900人。

 では、陽性判定が出た人には、軽症の場合は、ホテル等で隔離されてもらいましょう。106900人です。

 陰性で、陰性と確認されたことで、自由になる人、9890100人。陽性なのに、お墨付きをもらってしまった人が、3000人。合計、9893100人が、自由になる。

 陰性の人、989万人が自由になる。

 陰性でない人、9.99万人が、間違えられて、自宅待機を命ぜられて自由を奪われる。

 感染者7000人は、見つけてもらえて、いざという時に心構えができる。

 感染者3000人が、見落とされてしまい、市中に自由に出てしまうことになる。

 こんな検査をしてはいけない!

 間違って、自由を奪われるわ、見落としはあるわ!

 何だそうでございます。

 今はどうでしょう?検査を絞っている。

 すべての人がグレーなので、全ての人が、自由を奪われている。1000万人が。(日本全国だからもっとですけど)

 今現在の検査結果を借りてくれば、検査を絞っていることで、陽性と判定された人の累計数が、4106人。これは、陽性と疑陽性を含むということになるが。まあ、偽陽性を含まないと考えて、そのまま借りるとしても。感染率0.1%と仮定しても(この二つの数字を、一緒に使うのは、ちょっと乱暴ですが)5894人が、判別されていないことになる。自粛していると信じますが。

 で、どう思われますか?

 偽陽性の人を閉じ込めるなんてひどい!

 偽陰性の人を、見逃している!

 っていうかさ。

 検査しなかったら、検査されない陽性の人を、丸ごと見逃していることになるし。

 見えない不安で、全員を閉じ込められる。

 いや、エッセンシャルワーカーの人たちは、遊びには行けないけど、仕事をする。感染者がどこにいるか分からない不安の中で。

 あの例をそのまま使うとしても、約10万人が、とばっちりで隔離されても、989万人が、自由になるんやで。

 まあ、その論法からしても、現状考えた方が、検査した方が良くないか?

 何にも分からんのは、おかしくないか?

 

 

 しつこく書きますが。

 あの試算、感染率が0.1%という数値が既に違ってきていると思う。

 ニューヨークで14%、カリフォルニアのどこだったかで、4%という数値が出てきているので、すでに、現実では、一桁違うことになります。

 それに、越智小枝さんが書かれたブログによると、PCR検査は、偽陰性が出やすい検査であると。ただ、偽陽性が、一定の率で出るとはどこにも書かれていない。1%疑陽性が出ると仮定すること自体が、適正な値なのかどうかも分からない。

 それなのに、偽陽性の人の自由を奪うから駄目だと書いてある、その偽陽性の率自体の根拠がどこにもないんです。

 偽陰性が出やすいのは分かる。検体を取ったときに、十分ウィルスが増えてないとか、保管や移送の際に高温化のさらされて遺伝子が壊れてしまうなんてことで、拾えるものが拾えないということだから。

 ただ。上の例では、7000人を見つけられていますという事は、重要であると思う。それなのに、3000人見落とす方にばかりフォーカスするのは、論点が、歪んでいる。

 検査をしないことは、精度0%の検査をしているのと同じことだと書かれていた人がいた。

 鋭い指摘だと思う。

 検査をしないことは、何も分からないこと。

 3割の見落としがあるなら、3割の見落としがあるのを前提に、結果を扱うのが、真にクレバーな判断だと思う。

 わ~陰性や、絶対大丈夫、いぇ~~~!って、アホですわ。自重しろ!

 

 確かに、全員検査で、陰性の人を自由にするなら、期間を置いて、複数回検査をしないと無理ってことになる。見落としがあるからだ。

 そういうところまで考えるのが、いかにも理系君な発想やわ、玉川さん。

 検査資源が限られているからと、あれほど言われているのを分かっていながら、そんなことを言う。

 荒唐無稽に思える発想ではあるけど。

 やってみる価値はあるって、思いませんか?

 結果、できないとしても、考えてみても良いと思いませんか? 

 これって、思えばシンプルやけど、検査はしない方が良いくらいの変な空気が広がる日本の中では、ある意味「奇策」ではあります。

 経済を止める痛手を考えたら、そのくらいの努力、頑張れないかな?

 経済を再開する方法、「検査は広げられない」という思い込みが外せなければ、いい方法が見つからないじゃないですか?

 経済を止めてしまうことを思えば、その痛手を思えば、全員検査くらいの費用は、負担できるじゃない?

 それだけ、大量に検査キット作れるのか?

 作れないか、誰か確認してみたら良いねん。ダメ元やで。

 こんな、未曽有の経済的な危機にあるというのに。

 

 

 話が錯綜して申し訳ないんですが。

 検査を絞っていたのは、新型コロナを舐めてたからです。

 症状の出ない感染者が広げることが想定されてなかったから、それなら、SARSと一緒で、クラスター対策で封じ込められる。

 リンクを追えば、効率が良くて、目蔵めっぽう、どこにいるか分からない感染者を、検査するのは無駄だと考えられるし。

 それ以上に、重症化しても、重症化してから入院してくれたら、その時助けられると考えられていた。

 そこから出てきた、検査をやたら目ったらやるのは無駄という発想だったんでしょう。

 無症状の感染者がいると分かった時点で、クラスター対策だけでは、たくさん見落としがあると、方向転換すべきだった。

 検査を、症状が出た人みんなに広げるべきだった。

 重症化してからでも助けられると思っていたら、とても無理だったし、急に悪化するケースが出てきた時点で、軽症の内に見つけておくことが必要になった訳だから、検査をもっと拡充すべきだった。

 それまでは、その2つのことが想定されてなくて、きつめの風邪でしょ?インフルエンザみたいなもんでしょ?それを、指定感染症になんかしてしまうから、おかしなことになるのに、そういう政権批判みたいなことできないからさって。

 本音と建前の使い分けで、変な論理を持ち出して、検査を絞った。

 でも、本音はそうだった。

 ただ、きつめの風邪とインフルとは、違うところが、2つあった。

 やっぱり、科学の世界では、本音と建前の使い分けしていると、場合によって、こんなややこしい事態になる。

 検査データが、これほどない状態では、自粛を解除できる時期を判断できない。

 皆さん、怖いでしょ。

 季節性で、高温多湿の夏には、0にはならないけど、活動は抑えられそうだと、岡田先生も仰ってた。

 それでも、一旦自粛しちゃうと、どこでもう良いと判断できるか、こわごわでしょ。

 調べるしかないと思う。

 

 失敗学で、ハインリッヒの法則だったな。

 大きな事故に至るまでには、何度も、それをとどめるためのチャンスがあったのに、そこで手を打てなかったからだって。

 何度も、チャンスを見逃して来た。

 夏場に、活動が抑えられた時期にやるべきことがあると、モーニングショーでも話されていた。

 失敗を認めて、謝罪は後でエエから、急ぐことから先にやって欲しいです。

 

 そうそう。

 情報を、正しいか自分で考えて判断する力を、情報リテラシーというそうです。

 なるほどな。

 私は、自分の時間や労力をかける価値のない事にかけるのが嫌だ。

 縦の物をを横にもしない子と言われた子供が大人になったもので。

 頑張っている自分に酔うのも、嫌だ。ほら、親の病院ネタで、「待っている自分に酔っても良いことないし」って考える人なんです。

 だから、ホンマに?って思うことにしている。

 危機的状況。

 日本人は、余計なことを言って、目を付けられるのを極端に嫌う。

 世の中のカシコは、それが分かっているので、おかしいと思いながら、自分の考えをなかなか口にしない。

 ノーベル賞を取られた先生方が発言されるのはよく分かる。

 日本人は、権威に弱く、一般の人が言っても、何を偉そうにって反応が返るから。

 その論理の一貫性を保つには、ノーベル賞受賞者が発信することを、無下にはできないことになり。

 ノーベル賞を取った先生方は、そのこともよく分かっているから、自分が発信しなくてはと、頑張られるんだろうと思う。

 世の中のカシコの人たち!

 今言わないと、困った状況から、抜け出せないよ!

 みんなで、良いアイディア、出してください!

 

 とりあえず、検査、増やしてください。

 症状出た人だけでも、検査しましょう。

 

 あ、日本の感染は、確かに、諸外国と比べて、一気に爆発はしなかった。

 ジャパンパラドックスというそうです。

 それにはきっと理由はある。

 探せば、見つかるので、これから研究されることだろうと期待してます。

 でも、それは、検査を絞ったからではないですよ。

 

 さ、今日はこのくらいにしておこうっと。

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