西はりま天文台友の会の「観測デー」で、星を見てきました。
台風が来ていて、もう絶対無理!って中止確実と思ってたんですけどね。
何か、決行することになりまして。
友の会例会は、雨天でも開催され、通常なら懇親会があるんですが、コロナのために懇親会は行われていません。一方、観測デーは、確実に見えなさそうと分かっている時は中止になり、どっちか分からない時は開催のようなんですけど、開催されたからと言って、見える訳ではない。
まあ無理かなあって思いつつ、行ったんです。
2020年1月の例会で餅つきをしたまま、コロナで中止中止、7月の例会は作品展直後でお天気もビミョーだったのでお休みしてしまった。
そしたら、8月は例年ペルセウス流星群のイベントがあるので、観測デーはなくて、9月の例会は曇り空の雲の切れ目から、わずかに天の川が見えただけ。
もう、行くしかないでしょ。
駐車場について、からあげくんと糖質制限パンの晩御飯を食べていると、少し後でやって来たグループの女性が、「わ~きれい!」って、声を上げている。
え?そんなに?
ええ、そんなにでした。
も~サイコー!!!
去年は月が明るい日程のため、天の川は見えず、そろそろか?と思っていたら、コロナが来た。
ああ、夏の銀河は見られないんやなあ。また来年って思っていたら。
間に合ってしまった!
しかもとびきりキレイ!
これは、天頂付近。
目で見ると、もっと濃かったんですよ。
星が日周運動で動くので、数秒しかシャッターを開いていられなくて、このくらいにしか撮れなかった。
同じ画角の写真を合成すると、ノイズが除かれて、もっとくっきり星の部分が浮かび上がって来ます。
何枚も同じ画角の写真があって、それを画像処理の時に、星があるところはどの写真でも白く光る星が写っていて、空気中の水蒸気やエアロゾルに地上の光が当たって、散乱が起こったりする、写真ごとに明るかったり暗かったりする動いている光は除かれるという理屈らしく、とても鮮明に見えるんです。
早くお勉強して、コンポジットができるようになりたいです。
それでも、コントラストは触らずに全体を明るくだけすると、このくらい、星が見えてきます。
夏の大三角があります。
右下にこと座のベガ(織女星)、左側にわし座のアルタイル(牽牛星)、右上に白鳥座のデネブが見えています。
が、星が多すぎて、すぐには判別できないレベル。(実際の空では、分かりましたけど)
よく見ると、や座やイルカ座も写っています。
こちらは、天の川中心部。
南西の地平線から立ち上がっています。
南側は、姫路などがあって、明るいです。なので地平線付近は写っていないです。
画面左下あたりは、射手座、画面右下あたりは、さそり座、その上には、へび座とへびつかい座があるはずですが、これまた星が多すぎて、すぐには万別できません。
画面上一番明るく写っているのが木星、その左当たりの明るいのが土星です。
このどこかに、いて座A*(エースター)という電波源があって、それが私たちの銀河中心部分にある巨大ブラックホールなんですって。
このブラックホールの周りをまわる恒星があって、この恒星がブラックホールを回りながらエネルギーを失っていることを観測で確認した人が、今年のノーベル物理学賞の受賞者だそうです。
宇宙は、まだまだ謎が多いけれど、長生きしたら、宇宙の成り立ちが、もっともっと分かって来るかも知れません。
ああ、長生きしよう。
予算削らんでくれ~~~!
私は知りたい!
でも、そういう研究は、宇宙の成り立ちを知り、そこから予測される多くのことから、また新しい科学的な事実が分かり、まわりまわって、私たちの生活を変える。
直接的な理論の進歩だけでなく、その理論を証明するために、あの手この手で観測方法を考え、それを実現するため色んな観測機器や手法が生み出され、それが、実生活に転用されることもあるはず。
何の役に立つんですか?
何の役に立つために研究をしているんですか?
それらは、お金を生み出しますか?
それは、確実に成功しますか?
これらは全て愚問です。
なぜならは、今の科学から推測できるような、陳腐な内容からは、大した進歩は生み出せないからです。
確実に成功することなど、今の科学からそう大きくは飛び出すことはなく、小さくまとまることは確実です。
それは、子育てにも言える。
子供は育てたことはないけど、育てられたことはあるから。
親の推測や知識の範囲で守ってやれることは知れている。
子供を守り過ぎることは、結局は、何が起こるか分からない人生で、困難を克服するという習慣を身に着けることを阻害している。
親の推測の及ぶ範囲で、お利口にしている子は育てやすいかもしれないけれど、大化けをする可能性は低い。
予測不能な部分を、自分の子供が持っていないことを、危険かもしれないと考えるべきなんだと思う。
ま、研究も教育も、何かと小さくまとまる傾向が強い日本です。
タカラヅカでは、試験の方法を変えた年がありました。テレビで聞いた話では、声楽、ダンス等々、都会で経済的なゆとりがあって、そういう人の子供しか試験に受からなくなっていて、小粒しか出て来なくなっていたからなんですって。
小手先の、教育で伸ばせる「技術」だけではダメだってことなんですね。
教育で伝授出来て、公平な評価ができる範囲のことは、踏み均された領域で、本物は、その先を求められる。
もっと深く、感じる力や、表現する力、その伸びしろを持った人を見つけ出すには、訓練された習熟度だけを見ていてはムリ。
あ、脱線しました。
そんな訳で、宇宙の研究からも、何が飛び出してくるか分からないですよ。
ワクワクします。
この銀河の中心には、巨大ブラックホールがあって。
私たちには想像もできない、大きなエネルギーがダイナミックに動いている。
いろんな銀河の内、中心部が輝いている「セイファート銀河」と呼ばれる銀河は、中心部に一つの巨大ブラックホールがあって、ブラックホールがあるからこそ、激しい活動が起こり、その結果、まぶしい光を放出している。
銀河も堪能しましたが、60センチ望遠鏡では、いろいろ、マニアな観望を楽しめました。
2メートル望遠鏡の「なゆた」の観測では、一般の人に見せるときは、分かりやすい物しか見られません。
こと座のベガ、木星、土星、球状星団M15。
火星はなかった。残念。
という訳で、60センチ望遠鏡の方では、今、大接近から僅か4日後で、まだ相当近い火星を観測しました。
火星には、フォボスとダイモスという衛星があります。
丸くなくて、不定形の岩石みたいな感じ。その岩石が、くるくると自転しながら、火星の周りを公転している。
火星に近すぎて、そして火星が明るすぎて、いつもなら見えない。今の時期、大きな望遠鏡で見るからこそ見える、火星の衛星が「見える」と、友の会の詳しい人が望遠鏡で覗いて、仰っている。
予想通りですが、全員が見えたわけではないんです。
シーイングと言って、空気の揺らぎで像が揺れる現象があって、今回の空は目視や双眼鏡には最適の「最高の透明度」で、望遠鏡ではいまいちの「最悪のシーイング」の火だったんですって。
でも、近い今だけがチャンスなんだし、見たい!
私、根性!で、そらし眼をして、やっと「ダイモス」だけが見えた。
ホンマに嬉しい!
揺れる画像の中で、そらし眼をして、視界の中心ではなくて少し外したところで目標物を見るために視線をそらしつつ、意識は向けておくという。
一瞬、光る点が見えては消え、2回同じ場所に、光の点が見えた。
火星の直径と距離を確認すると、「ダイモス」の方でした。
他の星雲や銀河も見たかったけど、今回は、限定感のある「火星」で粘るのが正解だろうなって思った。
CCDカメラを望遠鏡に接続して、「直焦撮影」で、火星の動画を取られるというので、みんなで様子を見守った。
「今ので64ギガのメモリがいっぱいになりました」だそうで。
しばらくして、お茶タイムの前には、その動画の中から静止している瞬間を抜き出して「コンポジット」した火星の画像を見せてもらいました。
あんなにシーイングが悪くて、揺れるし不鮮明だった火星の模様がこんなに見えているなんて、凄い。
少人数で60センチを独占して、凄い満足感でした。
何か、妙な連帯感のようなものも感じてしまったりして。
少人数の中に、マニアが3人。
濃いわ。
面白い!
お勉強させていただきました。
センパイも来ないかなあ。30年ぶりに、会いたいな。
懇親会のある例会も良いんですけどね。
観測三昧の「観測デー」も、面白いです。
天体観測の技術も、本当に進歩していて、30年前には、こんな時代になっているなんて予想できなかった。
生きていると、面白いことがあるって思います。
天体観測を通じて、世の中が進んでいることを垣間見ることができる。
ワクワクです。
友人の趣味の世界も、凄く変わっているらしく、そこもちょっと覗いてみたいです。
コロナ禍、「わざわい」とはいうけれど、そういう物を克服したいという気持ちを人は強く抱くし、そのことでウィルス自体の研究も進むだろうし、それは生き物の在り方の根源に触れるかもしれないし、きっとこれも、間接的な事だけでなく、何かとても直接的な科学的な知見を進めていくことでしょう。
佐用の朝の空気を吸いながら、一人満足に浸る。
自分の運転で来られるようになったことも。
小さなことでも、限界を自分で作ってしまわないことって、大事だな。
金曜日の遅い時間に作った「土星」のマーブルです。
天文台をバックに。